Pardon Label

友人から届いた詩集は
静かな手触りのある無地の紙箱におさまっていた

蓋をあけると
スワッ!と空気を吸い込むような音
ページをひらくと
大切に選びぬかれた言葉の音楽が
余白からこぼれおちた

私のレーベルのイメージは
そのとき現れた

(つのだたかし)

「さまざまなパートナーとの音楽の楽しみを“今”  記録しておきたい」という単純な願いから、つのだたかしは1989年にセルフプロデュースのパルドンレーベルをスタートさせました。
つのだたかしにインスピレーションを与えたのは、詩人の友人から届いた新しい詩集で、それを見たときに、自分も音の入った美しい箱を作りたい、と思ったそうです。レーベル名の由来は、1枚目のリュートのソロCDができあがるまでにpardon, pardonとさまざまな方々に頭を下げたからだとか。
 30年以上前のこと。まだインディーズという言葉さえなかった頃、無名のリュート奏者の想いに共鳴して、まさに手作りのCD制作のパートナーとなってくれたのは、音楽評論家・佐々木節夫(ディレクター)、メジャーレーベルのプロデューサーだった峰尾昌男(エンジニア)、出版社勤務・小泉文治(アートディレクター、デザイン)、造形作家・望月通陽(ジャケットアート)。そして共に音楽を奏でてくれる共演者たちでした。
 この「パルドン・チーム」は、すでに始まっていたキティレコードでの《タブラトゥーラ》のCD制作シリーズに参加、1991年から始まった女子パウロ会の《アンサンブル・エクレジア》CDシリーズも全面的に手がけます。こうして望月通陽の印象深い作品をシンボルとした数々の作品が古楽ファンを楽しませることとなりました。
 古楽の魅力を再発見させてくれるCDは『レコード芸術』でもしばしば特選盤に選ばれ、2002年のエヴリン・タブとの「涙の形」は古楽部門でのレコードアカデミー賞を受賞。これまでにパルドンとして16枚、チームとして30枚以上のCDを制作しています。
CDのリストの中から、パルドン・レーベルのCDをさがしてみてくださいね。